あるお庭の手入れを頼まれた兄と庄司
人手があった方が良いので弟も連れていく
「わくわく」とか口に出して言ってみている弟
高枝切り鋏を豪快に振り回している庄司
弟は落とされた枝を袋につめたりしている
植えたばかりの小さな木に日を当てるために他の木の枝を払っていく
兄パチンパチン鋏の音も軽快に
しかし弟、枝を拾い上げて
「兄ちゃん、つぼみついてんで」
「うん…」
説明をする。この木はこの木で下を払って上に伸ばす。そしてこっちの木に日を当てる。それで両方良し。
「けどこのつぼみらがかわいそうやで」
「そうやねんけどな」
切られた枝から微かに染み出す樹液
「いたいんかな」
脇で聞いていて俄にテンションが下がる庄司
「けどな、誰かが得するためには誰かが損するもんよ」兄じっと二本の木を見ながら「世の中ってだいたい、そういう感じやで」
じっと手の中の蕾を見ている弟
「けどな」軍手を外し、弟の頭を撫で「この蕾は咲かれへんけど、切ったトコの脇からは新しい元気なんが生えてくんねんで」指を差し「ほら、この新しい枝は去年俺と庄司で切ったとこや」
じっと見上げる弟「ここもらいねんなったらはえる?」
「多分な」
笑顔を見せる弟「したら、らいねんもこなな」
「そうやな」笑顔を返す兄
胸を撫で下ろす庄司
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「ライドオーン」
「あ、帰って来はった」
「どうもーお弁当買ってきましたから休憩して下さいセイ」←寺の住職の息子
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