・礼二が店内をすっかり片づけた頃、ようやくオカラさんが戻ってきた
博は弟にひとしきり済まながっていたが帰って行く
・礼二が出してくれたマンゴープリンを泣きながら食べていた弟
するとサッシが開いて「コンニチハーもじゃもじゃ星人デース」頭だけ揺れている
「入って来なはれ」礼二苦笑しつつ「今ふかしますさかいにな」
・かくして夕闇迫る街をもじゃもじゃ+ふかふかと共に帰る弟
「そっかー」
「そうやねん」
「こえーなー」
「こわかってん」
・「おれ、もう、こんなかおいやや」泣きはらして目が真っ赤「ずっと、ずーっとおれ、こんなやねん」
「どんなだよー」
「かわいいからなんとか、かっこええからなんとか、って、みんなそんないうねん」
「しょーがねーだろーカワイイんだかぁーさー」
「いやや」クスン「だれもおれのこと、ほんまのおれのこと、みてくれへん」
「あー!あー!それブジョク!侮辱警報!」ポケットから出した自転車のホーンを顔に向けてプップー「おれ見てんじゃーん聡のことーほんとのー」
・「そーゆー連中は多いんだろーさ。多いのであろう」口調を変えたりして「けどそんなんばっかじゃねーよ?ねーろ?ねーだろ?」
「うん…」
「あのさーアレだぜ?言ってた賢太郎!あのね、あ、てんとう虫!ほら、聡てんとう虫!」
「ほんまや」
「寝てんだなコレな」しばし草むらで観賞「で何だっけ。あ、賢太郎がね、言ってた。代わりにはなんないんだってさ。あのーほら。大は小を兼ねるみたいなの、ガワはガワだけでも食えるみたいなの」
「?」
・「カッコイイ奴はさ、ブサイクーの振りってできんのな!で、逆は、ダメなのな!そんで、あと何だっけ、賢い者は、愚かなふりができる。似てんだろこれ。『賢い者は、愚かな振りが出来る』…な!」
「うんにてる」
「逆はダメなんだってー!バカはさー、賢いフリしてもーバレるもーん!そういうことなんだってー!」
「ふーん…」
「だからー、聡はー、大なんだから!それを、嫌がったら、ダメなんだろう?そうだろう?ハイソウデス」髪の中の別人格が「ダメデス」
「そっか…」
「俺はなんでも負けだから。のきなみ負けだから。軒並負男だから。何か大なとこほしーよ」
「そんなことないよ」
「そんなことあんの!賢太郎は全部勝ちだから。大だから。俺は小だから」
・「けど賢太郎が小を兼ねてくれてっから俺はいいんだ」くるっと回って「いいんだー!」
・ガワを少しわけて貰って帰ってきた弟
目の赤さの原因は即座に理解した兄と庄司だったが
『大』の下りは白い男を訪ねなければならなかった
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