・よゐこ園は桜吹雪
何となく皆で写生大会
ここではスケジュールが組まれたデイケア目的の者以外は
大抵こんな風に「誰かが始めたことに何となく付き合う」かたち
・「日に当たらんと脚気になんで」と礼二から部屋を追い出された絵師の姿も
芝生で絵を描いたり、微睡んだり、また描いたり、また微睡んだり
・「動くとよ、動きよるもんね、俺はさ、俺はこいつが描きたいもんね」
クレヨン持ってアブを執拗に追い掛けている竜次
・博は高いところにある桜の枝ぶりをよく見たくてぴょんぴょん跳ねている
・まさる君池の中を覗き込みすぎて転落、予めタオル持ってきてる有野さん
・後藤は芝生の真ん中に座り、画用紙いっぱいに芝生を描いた
広いところはただそれだけで価値があると思っている
・弟はキンポウゲの一角を丹念に描いている
光沢が巧く描けてご満悦
・弟のクレヨンの箱から何本か借りて紙に向かっている庄司
絵師、ちょっと覗き込んで「?」
「アップです、アップ」足下を指差して「レンゲです」
「ああ、なるほどな」
レンゲの花弁の一つ一つを大胆に大きく描いている
「ええな、構図」
「そうすか」照れる「絵、誉められると嬉しいす」
・「練習、したんすよ。オレ、目がこうでしょ
ものすごいヘタだったんす絵。
小一の時、先生に一番最初に怒られたのが『ちゃんと見てない』って。
『ちゃんと見て描きなさい』って。そんで気付いたんすよ
オレ多分テキトーに見てたんだなって。
半分見えないから、多分なんでも“それなり”だったんだなって。
聡君が絵描いてんの見て、そん時のこと思い出して。
聡君、何でもイッコイッコ大事に見て描きますよね。
あれ見てて、あ、オレも絵巧くなりてえなって思って。
で、練習してるんす。ちゃんと見て、しっかり描く。
やっぱヘタはヘタすけど、一生懸命さが伝わったらいいなって」
・思わずいっぱい喋ってしまった自分に気付いてちょっと赤くなる庄司
でも絵師笑顔を返して「うん、伝わる思うで」
・そこへ兄がやって来て感嘆
「ええなー、描けて」破顔する「俺は全然ダメ」
「ああ」絵師苦笑い「亮はやめといたがええわ、夢に見るわ」
・弟が寄ってくる「兄ちゃん、なんやかいてほしいもんある?」
「そやな」ちょっと見回して考え「聡が一番ええなと思うモンでええよ」
弟もちょっと見回して考え、小さく頷いて「したら兄ちゃんそこすわって」
「え?」
「うごいたらあかんで」デッサン始める弟
「え?え?」
クスクス笑う絵師と庄司
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