・今日も庄司は一人礼二に呼ばれた
礼二は絵師を連れてどこかへ行くようだ
「でな、こいつら頼みたいねん、今日一日」
「こいつらって…」
「にゃー」「にゃー」「なー」「にゃー」「にー」「にゃー」
・「羊羹はこの缶詰、豆腐はこのレトルトのにこの錠剤とこのカプセル、他のんはこのパラパラで、今ちょっとしたらやってくれたらあとは6時頃やな、あとは便所の掃除と、絹さやと海老チリは5時過ぎたらヒモつけてそこの窓から外見せたって」
「えっと絹さやはこのヒトでしたっけ」
「それは塩昆布や、絹さやはこいつや」
「あーはい。あー」目が泳ぐ庄司「あー」
・「あとこの袋に入ってる錠剤、全部潰して粉にしといてくれや」
「え?」
「この瓶のケツでゴリゴリやったら巧いこと潰れるから」
「………」
呆然とする庄司に絵師は右手を振るって見せた「久々にやってもうてん」湿布を何枚も巻いている
豆腐の看病と、そのストレスを何枚もの絵に叩きつけたことで腱鞘炎になっているのだ
今日の外出はその診察も兼ねているらしい
・一人残された庄司
絵師の帰宅まで8時間…「にゃー」「なー」「にゃー」
・そして兄弟のアパートにふらふらになって戻ってきた時
庄司の目は真っ赤になっていた
「どないしたんしょー兄?!」
「かゆいよォー」
・元来猫アレルギー気味ではあったものの、皆に心配をかけまいと黙っていたのだ
しかし今日の軟禁ですっかり悪化してしまった
「鼻がとまんね」ヘックシ「目がかゆいよォ」
「言うたらええのに俺代わったったのに」兄心配しながらもちょっと笑う
「だって…」
・「したら、あぶらげがうちにおったときもかゆかったん?」
「ちょっとね。部屋が別だったからダイジョブだったけど」
「…しょー兄ないてるみたいやな」弟も心配しながらもちょっと笑う「けどよぉないてるからいつもとあんまかわれへん」
「もー」グジグジ「はずかしいーつらいー」
「しょー兄なんやかわいらしな」撫でる「なきなや」笑う笑う
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