どせいさんの かくればしょで ごじます。 ぽえーん。



         はじめての人は鍋底についての注意書きをかならず読んでほしいです。 どせいさんに ついてはこれをよむです。

         Twitterログ Tumblr 鍋底辞書 芸人年齢一覧 大破壊後 兄弟篇 平岸高台公園 嬉野雅道さん


フォームで ごじます。

改行が効くので長文の場合は
適宜お願いするです。
文字化けする場合があるので
メモ帳などに保存することを
おすすめするです。しんちょうに。
うったり かったり。



はしごごっこです。あきないのです。
 ここから買ってもらうと
 僕に小銭が入るです。
 そうです。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

・兄弟篇についてご存知ない方はまとめページからご覧下さい
単品記事を古い順にまとめてみました。よろしかったらどうぞ
 (まとめからも飛べます)

・鬱々お兄
・理想と浅ましい現実
・繰り返しますが酷く鬱です

 庄司が帰った後、絵師の部屋
 病院と画廊と病院の帰りである
 礼二は大きなカバンから絵を取り出し、所定の場所に戻している
 最近の絵師の絵は、精神状態を反映した泥のような作品ばかりで、委託もできずに持ち帰ってきたのだ

 絵師は手首と腕に湿布を貼って不器用に固定している
 そして痛み止めと抗鬱剤と制酸剤と抗不安剤とサプリメントを一気に口に押し込もうとし、床にばらばらとぶちまけた
 猫が数匹、目敏く見つけてじゃれに行く
 項垂れてそれを見ている絵師

 礼二は猫を追い払いながら錠剤を拾い集める
 「兄貴よ」
 「なんや」
 「そないにしんどいねやったらな、ちょっとの間、休んどいたらええやないか」
 「何をや」

 錠剤を握った手を腰に当て、溜息混じりに「絵や」

 「けど、描かなんだら」
 「描かなんだら言うことないやろ。猫がこんなや、休んどいたらええだけの話やないか。寝ててもアレコレ情報集まってくるやろ、それで俺の仕事は充分いけてんねんから」
 「描かなんだら俺は何の、あれや、何の意味があんねん、俺の、居る意味は」
 「せやから、仕事は…」
 「それはお前のやろ。俺の、俺の価値やないやろ。
 なあ。俺にできることて言うたら何や。絵描くことだけやろ。なあ」

 ベッドに腰掛けたまま、絵師は頭を上げない
 猫が膝の上に乗ってくるが、軽く撫でながらも頭を上げない
 そして呻き続ける

 「恐いねん
 数少ない客が離れていくんが恐いねん
 どないなカタチでも画廊に出入りしとかなアカン思うねん
 どないな腐ったようなモンでも描いとかなアカン思うねん
 描き続けて、カタチに残して、それを人の目に触れさせとかなアカンと
 描きたい、自分が描いておりたい言うのもあんねんけどな

 最終的には金や、正味の話、多分…そうやねん

 いつか絵本出して…いや、それはないねん
 それは有り得へんとは思とんねん

 けどな
 休むことでな、描かんと居ることでな、
 その万に一つ、億に一つの可能性を己で潰すように思てやな

 俺は絵以外に何もあれへん
 他にいろいろでけてんのはお前が居るからやろ
 お前が居るから生きていけてんねんやんか、それはもう別の話や
 今金があるかどうかはもう別の話やねん
 
 俺だけの力で金を稼ぐ言うたら、それは絵くらいしかあれへんやろ
 せやからしがみつく…そうする他ないねん
 辛いで、辛いけど、描く以外に何もでけへんから

 なあ、ほんの小銭でも、日に千円でも
 どうにか働いて、己の力で稼げる人間やったら
 こんな思いせんで済むねやろな
 絵をこないな目で描かいで済むねやろなあ」 

 礼二は猫を一匹どかし、絵師の隣に座ってその背に手を置いた
 言葉はない
 ただ黙って隣に座っていた

 絵師は腕を抱えて「痛い」と小さく泣き声を上げた
PR
忍者ブログ [PR]