どせいさんの かくればしょで ごじます。 ぽえーん。



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・兄弟篇についてご存知ない方はまとめページからご覧下さい
墓参もあわせてご覧下さい

 朝の散歩から帰ってきた聡君は、何だか神妙な顔をしてました。
 何かあったんだろうってことはすぐにわかったけど、オレはそういうのを直球で聞けません。
 亮さんが起きてくるまでどうやって時間つぶしたらいいかなーとか、逃げ腰で情けないです。
 もう15年も一緒にいるのに。

 そんで亮さんが起きてきて、朝飯を並べてる時に、聡君がいきなり「おはかまいりいきたい」って言いました。
 何かもう皿とか落としそうなくらいビビったんすけど、やっぱオレは何も言えなくて。
 けど亮さんはじーっと聡君の顔見て、ちょっと考えて、「したら今日行こう」って言ったんです。
 もう、ものすごい驚きました。今まで、聡君の前でお墓参りの話は禁句みたいな感じになってたんです。そもそも亡くなったご両親のことも話さない方向だったし。聡君もそっち系の話はしなかったんで、忘れてるんじゃなくてガマンしてるんだろうなとは思ってたんですけど、ホント今まで全然何もなかったから。

 いつも通り、河原で花を摘んで、新聞紙でくるんで、お墓に向かいました。
 亮さんも聡君も、時々ちょっとずつ、フツーの話をしてるだけで、特別な事は話してません。むしろオレだけが妙に緊張しちゃって、黙っちゃって、二人に気使わせちゃってんじゃねえかって思って。
 今日はすげーあったかかったんで、いよいよ汗かいて、オレ一人上着脱いでタンクトップで、バカっぽいなとか思ってました。

 お寺は歩いて30分くらいのトコにあります。オレらは普段しょっちゅう歩いてるからダイジョブなんすけど、聡君はどうかなってちょっと心配だったんすけど、ちゃんと歩いてました。ちゃんとってのも変な言い方だけど。
 バケツとか熊手とか持ってお墓に向かってる間も、ずっとオレは心配でした。
 今まで聡君とは一度も一緒に来たことなかったから。
 そんで、ご両親が亡くなったこと、聡君が今もものすごい辛く感じてるってこと知ってるから。
 泣きながら飛び起きるのを何度も見てるし、淳さんに何か言われてパニック起こしたのも見たことある。
 亮さんは多分、一度もここへ連れてきてないんじゃないかって思ってたんです。
 だから、砂利踏んで二人の後ろについて歩きながら、ずーっとオレは不安だったんです。

 けど、聡君はものすごいちゃんと、丁寧に、落ち着いた様子でお墓参りをしてました。
 3人でちょっと掃除をして、お墓を洗って、花を飾って。
 (線香は、亮さんはいっつも買いません。節約なんだろうなとオレは思ってます)
 そして聡君は、お墓の前で手を合わせて、長いことじっと目を瞑ってました。
 亮さんは先に顔を上げて、その後ろ頭を見てました。

 顔を上げた聡君に、亮さんが突然声をかけました。
 ハッキリした声で、こう言いました
 「敵討ち、したいって、思うか?」
 聡君は振り返って、亮さんのことをじっと見て、そんで下向いて、何も答えませんでした。

 オレはこないだここで会った“イツジ叔父さん”のことを思い出してました。
 5番目の子供だからイツジ。亮さんからはそう聞いてます。どういう字なのかはわかんないけど。
 一番上のお兄さんだったのが、亮さんと聡君のお父さん。オレは兄弟が居ないからホントのとこはわかんないけど、亮さんと聡君、あと剛さんと礼二さんとか見てると、兄弟ってどんだけ大事なのかって思います。命を懸けても護ったりしたいものなんだろうって。
 あん時のイツジさんの「俺は続ける」って言葉、あん時の寒気みたいな感じが、急に思い出されて来ました。お兄さんとか家とかメチャクチャにされて、それからずっとその怒りと怨みだけで生きてきたんだろうって思わせられる、そういう目、そういう声。

 聡君の声で、オレは顔を上げました。オレも下向いてたんだなってそん時気付きました。

 「おれは、もしおれが、なんかでしんでも、兄ちゃんにかたきうちしてもらわんでええとおもう。
 なんでって、そんなんしたら、兄ちゃんがかなしいんちゃうかっておもうから。
 もし兄ちゃんが、じぶんでそうしたい!っておもうんやったら、それはまたちゃうけど、
 おれが、くやしいからかたきうってって、そういうことは兄ちゃんにはいわれへん。
 兄ちゃんのじんせい、おれのためだけにつこてって、いうてるみたいなことやとおもうから。
 せやから、おれは、もししんでも、かたきうちしてもらわんでもええの」

 聡君は泣いてました。涙がぽろぽろぽろぽろ砂利の上に落ちてました。オレは手の甲の皮噛んでました。そうじゃないと、すげえ変な声で泣き出しそうな感じだったから。
 聡君は亮さんの質問には答えてない。けど、それは答えになってた。亮さんが言ってた、怨みや憎しみを背負わせたくないって言葉、それがそのまま返ってきたんです。
 オレがとうとう堪えきれなくなって横向く時、亮さんが聡君の頭を抱き寄せて撫でてるのが見えました。後はもう、ダメでした。やっぱオレが一番泣いてる。いっつもそうです。情けない。

 帰り道、二人はいつも通りの感じでした。時々オレを振り返って、からかったりして。
 時々来る鯛焼き屋の屋台があったんで、イッコ買って、分けて食べながら帰りました。
 これから亮さんがどう動くのかオレにはわかりません。けど、オレは亮さんについていくつもりです。もしそのせいで大変なことや面倒なことになったりしても、オレは平気です。
 オレには護りたいものがあるから。それは亮さんだし、聡君だし、この日常ってもんだと思います。だから、オレは平気です。全然、大丈夫です。
 泣いたりとかは、すると思うけど。
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