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兄が近所でちょっとした人助けをした。
そのお礼にとカステラが届けられた。
丁重に受け取る庄司。
壁に隠れて見てる聡。
食卓の上に置くと、聡がじーっと見る。
「亮さん、帰ってきてからにしようね」
「うん」
じーっと見てる
「…もうすぐ、帰ってくるから」
「うん」
見てる
「………食べたいの?」
「うんうんうん」
「ただいまーあ何かええ匂いするあぁそうかそういうことか(壁に頭ゴン)そうゃよなーうんそうや判ってた俺判ってたわ」
「すいません」
「ええねんええねんそうなんねんどうしても」
結果
亮:10分の1
庄司:10分の1
聡:10分の8←「5分の」としないところが田村家
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もっしもっしと囓りながら聡ボソリ「かすてらって漢字でどう書くん」チラシをたぐり寄せ「ひらがなは書けるよ」
か お ん さ
「ちょっと惜しいな、『か』は合うてる」
「ちごてる?」
「…何やろ。かす…カス?酒粕とかのカスかな」
「さけかす入ってんの?」
「いや入ってはない…と思う…けど。そういう意味やろ。そういう意味って俺もわかれへんけど」
「てらは?」
「てらは寺ちゃうか、坊さんの居る寺」
「おてらー?」
「他に何かあるかな」
「…てら…?」(首を傾げる、口の端に欠片がついてる)
「ああわかった。照、かな?日が照るとかの、光るみたいな感じの」
「なんで?光れへんよかすてらは」
「ゃからそういう意味ちゃうかな?輝きますようにみたいな」
「あ兄ちゃん俺わかったココやこの黄色いトコや!ココが光ってるみたいな感じやから!」
「ああそうや!フワーッて!ああほらやっぱ、な?そういうことや!」
「そっかあ!兄ちゃんすごーい」
ポルトガルのポの字も言い出せなかった庄司
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