_____
雨の路地裏
Bがバイクを隠そうとすると、足元からか細い声が
『拾って下さい』と書かれた段ボールに入ったやけにクラッシックな捨て猫である
動揺するが、見過ごせないB
小さな黒いそれを抱き上げ、黒い革ジャンの胸に収める
「カワイソにな…選りに選ってこんな街によ」
「にゃー」
すると背後から「あれ?兄ちゃん、いまねこのこえしたで」
振り返らずに駆け出すB
「どうしよねえどうしよ潤!絶対オレ見られてるよね?!絶対オレ昔の少女マンガの不良みたいに思われたよね?!ヤダヤダそんなのオレそんな古臭いキャラ絶対ヤダ!ねえどうしよう潤!」
「どうもこうもないでしょうよ!それに何でアタシん家に持って来ちゃうんですか!」
「にゃー」
「あの子の中でオレ絶対中途半端にカッコイイ感じになってるよ…オレそんなの堪えられないよ…」
「自意識過剰でしょうよオザーサン多分見てもいないし大してカッコ良くもないですよ」
「そんなのヤダ!」
「ああ欝陶しい!何でもいいから早く連れて帰って下さいよ!!」
次の朝、A(と背後に隠れたB)は手土産持参で絵師の元を訪れ、子猫を託した
絵師は手土産に因んでその子猫を『羊羹』と命名した
PR