兄弟篇についてご存知ない方はまとめページからご覧下さい
・白い男ともじゃもじゃを精神的な死へ追いやった連続殺人鬼『虹』の過去
・残酷描写が含まれるので好まない向きは回避を推奨します
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・家庭は暖かいものではなかったが、それを気に病んでいたわけではなかった
(と本人は書き残している)
・中学時代から天才少年。それ以前も「天才少年系」
・高校時代は数学オリンピックに打ち込む
・大学もガチガチの名門へ
・しかし転機はその大学入学直後
不意に、自分の周囲にほとんど誰も居ないことに気付く(それまでは気付かなかった)
そして、「自分も人並みの交友能力があり、かつ人の上に立てる」ことを証明したくなる
・決して人間的にアレなわけではないので、サークルの設立からその運営、ねずみ講的な発展まで順調に進める
それなりにモテたりする
・その時期の変容を、中学からの親友は冷めた目で見ていた
・それに気付かず、4回生になった春に会社設立を持ちかける
しかし親友はかわすように断った
何故断られたのか、理由がまるでわからない
降って湧いた孤独感に狼狽する
・同時期、ある会社の破綻を切欠とした株の暴落に遭遇、売り抜けられなかった
サークルやその家族から集めた資金は数千万円に膨らんでいたが、一夜にして無一文に
大学は退学、自己破産を余儀なくされる
・その時期のことを「今のこの世界に俺の席なんかないんだな」と感じていたと書き残している
・その二つの出来事から、何か人生を動かす「大きな流れや力が存在する」という思想に到る
さらに「自らが(他者の)外因となることで、その流れに変化を生じさせることが可能なんじゃねえか」という妄想に取り付かれる
これは「タイムトラベルで草一本踏んだら未来が変わるかもってやつ」という考えに通じるらしい。「与える影響が大ききゃ大きいほど、その後の変化も大きくなんじゃねえか」ということ。
・その実践として、様々な事を試みるが、最終的に辿り着いたのはやはり命を奪うこと
まず「居なくても良さそうな奴」を「何人か摘み取ってみた」が、「やっぱ大勢に支障は来さねえな」
そして対象を選び、緻密に組み上げた計画を元に連続殺人を開始
・しかしそれが判明するのは小林が部屋に踏み込んだ日、部屋に残されていたノートから
あまりに難解なパズルに誰も気付かなかったのだ
既に数十人がその手に掛かっていた
そして「お前らが無能なのはよくわかったから」と、路線を変えることに
捜査する側の誰か一人に的を絞り、そいつに解かせようということだ
・幸いターゲットは綺羅星の如く現れた
凱旋帰国し称賛を浴びている男、その名声に恥じない本当の才覚を持つ男
「そんで日本にもお前の席があんのな、いいよなー」
かくして「今までのと較べたら格段にわかりやすい」虹事件がスタートすることになる
・当初は人間の強さの実験であった
前半の4人は全て、殺害にあまりにも執着的に時間を掛けている
しかし「逆だったんだよナ」人体は想定よりも遙かに脆い
その後はサクサクと行く
・…予定だったが、片桐の存在を知ってまた別の要素が
それは明らかに友情への嫉妬であったが、明確に書き残されてはいない
・最終的に小林への負けを認めることになる
その瞬間全ての執着が取り去られた
・最期の瞬間は「どうせ元から俺の居場所なかったしなー」と部屋を横切り拳銃の置き場へ
動くな、と包囲されているが「お前らに俺は撃てねえよな、カクホしなきゃだもんなー」
小林は「彼を撃て!」と叫んだが、振り返り「ムリだよ、こいつらには撃てねえって」
そして「あばよー」と気の抜けた、耳障りな声を残して自らの頭を吹っ飛ばした
・部屋に残された資料は全て新しく小林宛に書き換えられていた
・ある会社の関係者や『親友』は、全員この事件の詳細を知らない
白い男も現在のその両名との関連に気付いていない
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