・やはり降り出した。博は咄嗟に軒の下へ駆け込み、ジャージの前を重ね合わせた。
止みそうにはない、朝からわかっていたことだ。やっぱり岡田さんが戻ってくるのを待っていればよかった。いや、そもそも傘を持ってくればよかったのだ。
そこまで考えたところで博は軒から飛び出した。連鎖して浮かんでくる人生規模の後悔を封じ込める為ではない。店の中から見られているのが恐ろしくなったのだ。
何の店だったのかもわからない。営業中の店で、中に人が居たというだけで博にとっては大問題だった。知らない人間が、邪魔そうに自分を見る。初冬の雨の中を走る方がどれだけマシか知れない。
背後からの軽いクラクションに博は実際に少し跳ねた。側溝の上にまで除けようとして、運転席の
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