どせいさんの かくればしょで ごじます。 ぽえーん。



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・ハッピーバースデー惜しい(昨日)。



―――――

 車椅子を作業台から遠ざけた。
 頭を反らせ、首と肩をくつろげる。すっかり落ち窪んだ目元を強く押さえた。
 ガス欠やな。自嘲に力がない事に苛立つ余力も残っていない。

 周期的にこうした虚無に襲われる。同時に、酷く痛む。その痛みが思考を元に戻してくれると飲み込んでいるから、甘んじて受け入れる。ルーチンを丁寧に踏んで行く、おおよそ5分だ。だがそれは、大層長く感じられ、苦渋に満ちた5分間だ。

 厄災に襲われた際の狼狽は早々に克服した。考える事に集中すればよかった。
 事態の規模の大きさや、混迷の度合いが忽ち深まる事への不安や恐怖はほとんど感じなかった。仲間が居たからだ。俺を頼り、俺が頼れる仲間が居た。
 失ったものへの悲痛な想いは今も続いているが、それは自然な反応だ。そして「彼等は俺達の心に生きている」という陳腐な言葉で、充分自分を納得させ得る。

 自分の能力が微々たるもので、世界を救う等という大言壮語を吐くには到底足りないと気付いた頃の苛立ちや焦燥や落胆にはすぐに慣れた。どんな状況であれ誰であれ、世界を救うなんて事はそもそも不可能だ。自分の影響できる範囲は限られている。割り切ってしまえば、後は目の前の事を一つ一つこなしていくだけだ。

 その一つ一つですら遅々として進まず、大言壮語の代わりに血を吐くようになり、希望的要素が次々と減っていくのをデータとしてこの膝に次々と受け止めるようになってからの消沈、無力感は払拭しようがない。一番タチが悪いものだ。堂々巡りに陥り、既に解決した筈の感情が蘇る。俺はこんなに感性の豊かな男だったかと呆れる程だ。

 だが、感情の制御は即ち脳の機能の制御だ。自らを制御出来ずして何が人類か、と思っている。否、考えている。

 堂々巡りを突破するのは今抱いている内で最も強い感情だ。
 責任感。
 俺には知識がある。考える事が出来る。一を聞いて十を知り、二十三十を考える事が出来る。俺にはそういう能力がある。才能のある者には、それを発揮する責任がある。
 溶け切るまでは、この場で、務めを果たす。

 そうしていきり立った挙げ句、その責任感の背後にあるものへ辿り着く。同じ形をして居ながら、影のように離れず、正面からでは見えない。俺以外には決して見えていない。
 今の俺を突き動かすもの。俺を諦めさせず、錯乱する事も絶望する事も、最も安楽な処へ逃げ出す事も許さないもの。
 罪悪感だ。

 如何な知識を以てしても対応出来なかった事態。
 俺が判断を誤ったが為に失われた命。
 救う事が出来なかった、俺より優れていたかも知れない者達。
 死や殺戮に慣れ、それを止めようがない心。
 俺の為に様々な困難に直面した相方。
 結局のところ、何の役にも立っていないと感じる事。

 押し潰されそうになると、必ず痛み始める。両足が。膝から下が。
 爪先は酷く冷え、凍傷のようなむず痒さを伴う。手を伸ばし掻きむしりたくとも、毛布で包んで温めたくとも、それは存在しない。ズボンが寄る辺なく揺れるだけだ。

 この幻肢痛に堪える。脳の誤動作だ、誤った回路が反応しているだけだ、単なる“気のせい”だと言い聞かせる。車椅子の足元、何も乗っていない足台を見据え、考える。こうして自己嫌悪に陥る事で、免罪符を得ようとしているのだと。

 そして必ず思い至る、馬鹿げた感傷を断ち切る。
 この脚の痛みのように、全ては幻なのではないか。
 あれから今までが全て嘘だった、夢だったのではないか。

 目を閉じ、深く息を吸う。
 大きく息を吐き出し、目を開く。
 ちょうど5分だ。

 車椅子を反転させ、新たなデータを膝に受ける。そして再び作業台に向き直る。

 現実だ。夢でも幻でもない。
 誤動作であれ実際に痛みを感じるように。考えずとも心が苦しいと感じるように。
 目に見えなくとも、或は見えていても信じ難い事であろうとも、感じる事が現実だ。
 向き合い続ける。
 俺を突き動かすものに従って、務めを果たす。
 望むところだ。
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