どせいさんの かくればしょで ごじます。 ぽえーん。



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はしごごっこです。あきないのです。
 ここから買ってもらうと
 僕に小銭が入るです。
 そうです。
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・大破壊後の目次はこちら
・突然脈略なく書いてしまう やられてる方は設定なし

・そいつの武器はこれまでに何十人も屠ってきた鋼鉄の臑、学者を脅して分析させたところ、瞬間的に骨の組織を増やしていると言う、加えて少年期から卓越していた運動能力から繰り出される速さは、この世界の常識から考えても並外れた威力を蹴りにもたらしていた、その蹴りを、その男はあっさりと受け止めた、同じ臑で、同じ速度で繰り出された臑で。

 折れ曲がった足を抱くようにして悶絶しているそいつに舌打ちをして俺の背後から飛び出した奴は、掌から汗を媒介に浸透圧を調節して触れたものから何らかを吸い出すことができ、不意さえつければ平手の一つで相手の血液から酸素を奪い尽くして昏倒させるのに数秒もかからない筈だったが、聞こえた声に応じて振り返ったその男は、奴の掌に寸分違わず掌を重ね合わせ、そして白目を剥いて倒れたのは襲い掛かった側、数秒もかかっていない。

 混乱していた。俺達には異能があり、それはこの近隣では群を抜いていた筈だ、互いにいびつで、ちぐはぐな能力しか持たなかったが、それを補い合って生き抜いて来た、生き抜くために、死なないために。死なないために殺すのだ、それがどうしていけない。咎められることはない、こんな世界に於いては。増して、こんなわけのわからない倒され方をする道理はない、あの二人を事もなげに、どれほどの異能、そうじゃない、同じ。全く同じ力を持っていなければ、こうはならない。足元の二人から後ずさりながら俺は混乱していた。

 目の前の男、派手な青いスーツを着た男は、俺を意に介する風でもなく、相方を、周囲から浮かび上がるほどに蒼白な顔をした相方を、笑みの形に口を固定したまま見返る。俺はさらに後退する、怖い。
 相方の方は、光沢あるピンクベージュのスーツ、皺一つないズボンのプレス、あまりにも長い足、厳かなまでにゆっくりと白い顔に眉根を寄せ「遅か」と一言。
 未だ掌を空に浮かせたまま身をよじるように「なーンよかろうもん今の!今のこの結果ば見て褒めちゃらんね!」笑顔のままだ。
 「一拍遅れたら負けよろうが。まだまだ足らん、観察も反復も」俺を見た、一瞬だったが俺を見た「実践も」

 俺の異能は先の二人に比べたら無いにも等しいもので、生来の卑屈さからこれまでほとんど振るうことがなく、それでもいざ使った時には致命的な打撃を相手に与えていた、これまでは、今は違う、怖い。ただ踏み込んだ素早い打撃、その狙いを外さないというだけ、例えば相手がそこに防具を、いやそうじゃない、俺はそれをも見切って、必勝のその一カ所を見定めて打ち抜くことが、できた、今までは。
 全く、どうしても、一切、勝てる気がしない。あの二人があっさりと。俺がどうやって。持っている、複数の異能。そうでなければ何だ。

 逃げるしかない。俺はその時絶対にそう思った、思ったし考えた、それを実行に移そうとした。
 だが俺の体は、青いスーツあまりにも派手な周囲の瓦礫から浮きに浮いた青いスーツの男へ目掛けて拳を掲げて、ダメだ当たる前に解る、俺には必勝の一カ所が見えるからそうでない箇所もわかる、そこでは倒せない、そもそもこの男は倒せないから逃げようとしているのに何故俺は!!!


 胸の中の気体が全て外に押し出されて俺は喘ぐこともできない。暗転していく視界の中に意識を溶け出させながら、むしろ思考が鮮明になってくるのを感じた。
 俺は生きている、そしてこの一撃は致命傷ではない。『必勝ではない箇所』だからだ。青いスーツの(返す返すも安っぽく派手な)男は、俺と全く同じ動きをした。左右も同じ、だから拳は交差した。後から動いた筈の相手が優った。俺は相手に触れることもできていない。

 「今のんは良かったろうが?タイミングばピシャッと合うたろうが!」
 「俺が押したと、気付いとろうもん」
 「少しは俺を褒めんねアンタは!」

 聞き慣れない語の会話が耳に流れ込み、それが意識をさらに押し出していくように思われた。
 そして気を失う一瞬に、全ての疑問が一つところへ帰着した。
 複数の異能を兼ね備えている筈がない。俺達のようにちぐはぐな能力と、偶然同じものを持っている筈がない。
 だとすれば、それは、同じものをその瞬間にそこに生じさせる能力――

 「何の、まだまだ、練習の練習たい」
 「もー、たいがいキツかね。殺さんでからに、モノマネ一つでどこまで行けるとか?アンタ真剣に考えよう?」
 「ええ、ええ、どこまでも行きましょう?」 
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