__________
・堀内健は今も飛んでいる
「今奴らを失うわけにはいかない」
「ふーん、そーなんだー」
「数で負ける…人手が足りない」
「ヒトデ☆?」
「一人でいい…どこからか…」
古木とのやり取りを反芻しながら、腕の中の“ヒトデ”を抱え直した
「そっかそっかー、お兄ちゃんなんかにしたらー、アウエエだからだなー!アウエー。あえー。うまく言えねー!」
表情に悲壮感はないが、その進路は一直線だ
「加速すっかー今のオレまさにパラグライダー!」
・井戸田潤は今も目を見開いている
その男の正体を見定めたかったからだ
助けに駆け寄れなかった我が相方を庇って倒れ込みながら
その瞬間に飛散し来る瓦礫を砕いた蹴りを放つ男の正体が
あの正確さ、あの威力、そしてこの戦場に不似合いな黒いスーツ
逆光で顔が見えない、しかし浮かび上がる髪の色だけはわかる
荒れた茶金の髪だけは
・井上聡は今も考えている
吹き上がる血と、割れたガラスから吹き込む風と、迫り来る複数の足音と
それを取捨し、どれに賭けるべきか
助かる手だては恐らく幾らでもある
ただ、この瞬間に自分が『あんじょう勝てば』の話だった
そして誰かの悲鳴が聞こえた時、うっすらと笑みを浮かべた
勝てる勝負や
__________
・大破壊後の目次はこちら
・書きたいときに書く!
書けない時は書かない!
押忍!