どせいさんの かくればしょで ごじます。 ぽえーん。



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 兄弟篇についてご存知ない方はまとめページからご覧下さい
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 幼い頃の兄と弟の話
 ・暗いです
 ・小さな子供が辛い目に遭うのが苦手な方は回避を推奨
 ・ケガ描写もあります

 二人で暮らし始めて間もない頃
 聡は度々泣いて帰って来た
 悪巧みをする大人よりも、同じ年頃の子供にいじめられるのが堪えるようだった
 常に傍らに居て守ってやれないことが口惜しくてならなかった
 聡にとって、兄弟二人で住む狭い部屋だけが安息の場だった時期が確かにあったのだ
 それは俺も同じだった
 風呂も暖房もない部屋で、安物の布団を二人でかぶって寒い夜をしのいだ
 「家に帰ってきたから大丈夫や、兄ちゃんが居るから大丈夫や」
 俺は事ある毎にそう言い聞かせた
 何の根拠もない俺の言葉を聡は無心に信じていた

 春先の途方もなく蒸し暑い雨の晩
 電気を止められていて窓を開けるしかなく
 それでも風はそよぎもせず大きな雨粒だけが安物のカーテンを揺らしていた
 俺はその頃関わっていたお偉方に呼び出された
 殺されるとは思わなかったが無事で済むとも思わなかった

 ここへ逃げ込むまで片時も手放さなかったお守り袋を取り出した
 中には千円札が一枚折り畳まれている
 遥か昔に訊ねた祖母の家までの電車賃は子供料金で800円と少し
 弟が一人で無事に辿り着く可能性よりも
 祖母の生死すらわからなかった
 危険と言うよりも無謀な賭けへの全財産を
 小さな手にしっかりと握らせて部屋を後にした

 行きは2時間、着いた先で拘束されたのが半日以上
 そして帰り道は丸一日かかった
 片目は腫れ上がって視界を遮り
 止まっては迸る鼻血が呼吸を戒め
 麻痺に近い激痛の奥で
 どこがどう折れているのか把握すらできない足を引きずって歩いた
 痛みよりもそれが引き起こす吐き気が辛かった
 吐き出す物などとうに何もなかった
 雨は一旦上がり、雷を伴ってまた降り出し、乾こうとする血を路面に流した
 行き交う人々の視線は嫌悪と軽蔑に遠巻きで
 警察沙汰にならずに済んだのが救いだった

 帰り着いた部屋の窓に当然灯りはなく
 この三日余りで聡はあの農村の家に辿り着いただろうかという想定や
 それに伴う危険を冷静に推測することを俺は無意識に避け
 ただそこに居ないでくれと願っていた
 俺はこの日辿り着いたその場で死ぬのであり
 俺の人生から聡を切り離してしまいたかった
 どん詰まりで仕方なくそうするのでなく
 既に別の道を歩いていてほしかった
 無様にのたれ死ぬのであれば、その瞬間は一人でありたかった
 聡を汚い物に触れさせたくなかった
 
 半開きになったままのドアを開けると
 聡はそこに居た
 上がり框に蹲り、気を失うように眠っていた
 俺に気付くとか細い声で「兄ちゃん」とだけ呼び
 細い手でしがみついて離れようとしなかった
 タンクトップは汗で重く湿っていて
 母の形見のペンダントが肌に軋んでいた

 夜になれば漆黒の闇
 見えるのは警邏のパトランプと雷鳴だけ
 どれだけ恐ろしかったか想像することが躊躇われた
 目を凝らせば廊下と玄関と室内を結んで幾重にも残った足跡
 俺の帰りを何度も覗いていたであろう裸足が痛々しかった
 机の上には残していった菓子パンの袋が散らばり
 その脇にお守り袋が開けられないまま置かれていた

 全身のどの傷よりもただ胸が痛んだ
 俺を待っていたのだ
 死んで離れていこうとする俺を待っていた
 最も楽な道へ逃げていこうとする俺を
 真っ暗な部屋で、壮絶な温気の中で、たった一人待っていた
 何一つ言葉をかけることが出来なかった
 ただ小さな体を抱きしめ、俺も泣いた

 弟は不意に顔を上げ
 涙を満たしたその目で俺を凝視し
 「だれにいじめられたん」と言った
 俺は無意味だと思いながらも必死に誤魔化そうとしたが
 弟はそれを制して言葉を続けた
 「だいじょぶやで、うちにかえってきたから、もうだいじょぶやで」
 そう言うと俺の頭を撫で、小さな胸にしっかりと抱きすくめ、こう言った
 「おれがおるから、だいじょぶやで」

 俺は聡を護っているのではない
 聡に護られて生きているのだ
 あの日からずっと

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